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「悪い悪い。さて・・・始めるか!」
七瀬は照れを吹き飛ばすように手を鳴らし、志織の肩を軽く叩いて、「よろしくな」と、微笑みかけてからコートへと駆けていった。
惜しげも無く次々に繰り出されたときめきの瞬間に、ほわんとしながらその背中を見つめる志織。
──どうしよう・・・。
ドキドキ、止まんない・・・────
煩く高鳴り続ける胸に手を当てて、しばらくは呆然と七瀬の姿を見つめていた。
*
和やかな空気も練習に入ると一変し、部員たちの目は真剣そのものとなっていた。今日は新入生の実力テストを兼ねて、新入生同士の試合を行っている。
その横で、志織はバスケ部一のスコアラーである、二年生の牧野にマネジャーの仕事を教わっていた。
「うちは人数が多いからマネージャーの仕事も大変なんだ。だからいつも入って来てもなかなか長く続かなくてね・・・。俺も出来るだけ手伝うから、志織ちゃんも頑張ってね!」
「はい!頑張ります!!私、絶対やめませんから!!」
「いい意気込みだね。それにしても優也も強引だな。他に入りたい部があったんじゃないの?」
木下と同じ中学出身だという牧野は、「いかにもアイツらしい」と、笑いながら尋ねた。
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