35人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺も驚いたよ。まさかまた会えるのが自分の学校で、しかもマネージャーとして現れるとは思わなかった」
二人は砂浜を見つめて笑い合った。
「ずっと返さなきゃって思っていたんですけど・・・。遅くなってしまってごめんなさい・・・」
「ジャージは返してくれなくていい。って言うよりその必要はなくなったな」
「え?・・・でも」
「お前も立派な広陽バスケ部の一員なんだ。試合や遠征のときにはそれを着ればいい」
「でも、あれには七瀬さんの名前も入ってますし、私には大きすぎますよ・・・」
「ん?別にいいんじゃないか?俺は新しく作り直したし、それに少しダボついたジャージは可愛く見えるぞ?」
可愛くって・・・。
志織は緩くなる頬を両手で押さえた。
「そんな事より、俺の問題はまた別なんだ」
自分に向けられた七瀬の目があまりにも真剣で、志織は身動きするのも忘れて、その目を吸い込まれるように見つめ返した。
「・・・まだ恋はしたくないのか?」
彼の言葉に、波の音に、志織の胸の中にあの日の記憶が蘇ってくる。
彼女は本当は、最初から全て分かっていた。
─あの日からずっと・・・気付けばいつも彼を探していた・・・─
一人で部屋に居るときも・・・
眠れぬ夜の夢の中でも・・・
いつも彼のことを考えていた。
最初のコメントを投稿しよう!