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―4月―
温かな光の中、桜色の風に包まれて、志織は広陽大付属高校の門をくぐった。
あれから彼には会っていない。
会ってしまえばきっと・・・・・・そう思うと、怖かった。
返さなくてはと思いながらも、まだ彼のジャージは返せないままでいた。
しかし、それも次第に下腹部の痛みが薄れていくにつれて、「出会える運命にあるならいずれ・・・」などと、大袈裟かも知れないけれど、そんな淡い期待を抱くようになっていった。
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