世界でただ一つの選挙

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「今回はたま市長の高齢化のため、任期満了で引退。市長選挙が行われる事になったのですが、猫の選挙というのはどのように行われるのですか?」 「まずは候補者は市民からの推薦で決められます。基準がありまして、あまり幼くても年寄りでもいけない。攻撃的でなく、人見知りしすぎず、堂々とした態度の方が選ばれます。見た目の可愛さも重要です。こうした基準に基づき予備選挙を行って、役所員にて候補を絞り込みます」 「なるほど、しかし選挙は候補者だけではできませんよね」 「もちろんです。まず本選挙に出馬する候補者は、支援者の手で選挙事務所が設立されます。そしてポスターようの写真撮影。これは非常に重要な所です。写真写りの良さも市長の重要な力になりますから」 「しかし選挙演説は出来ませんよね。選挙活動は具体的にどのように行われるのでしょう?」 「選挙活動見てみますか?」 「お願いします」  山田に連れられやってきたのは市立の公民館。市民なら開館時間はいつでも誰でも出入り自由。公民館内のカフェスペースの一角にガラス張りで区切られた区画があり、中に黒猫が一匹いた。 「今日はくろ候補者の日です。彼は今回の市長選でも有力候補なんですよ」  黒猫のくろは多くの人々の視線と声を浴びながら、悠々自適に眠っていた。     
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