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何も無くなった机の上に、先ほど置こうとしていた何かを音を立てて置く――――『ココア』と書かれた缶だった。
金森は目を見開いたままそれを凝視し、固まる。
「これ、」
「疲れたろ」
静かに言う彼。
「いっつも生徒会の仕事、ひとりでやってんの、見てた」
あんたが会長になってから、ずーっとこの教室でひとりでいんの。
「俺はずっと、見てたよ」
ぽ
ろ
り、
しずくが、
頬を、
伝
っ
た。
「あ、れ?」
次から次へとポロポロと零れてくる。
別に悲しいことなんてない。
驚いたかもしれないけれど、泣くほどビックリしたわけじゃない。
でもなぜだろう。
とても、
とても、
胸が苦しくて、
でも、
嬉しくて――――
「あはは、なに泣いてんだろう、わたし」
止まれ、止まれと目元を手で拭うが止まる気配はなくて。
「来るの、遅くなってごめん」
それでも拭っていれば、彼がそっと手を取って握ってくれて、
「……っ、なんで貴方が謝るんですかっ」
先ほど彼が言った言葉を返せば、彼は苦笑いをしながらもう片方の腕でぎゅっと強く抱きしめてくれて。
その優しさに、より涙が溢れた。
――――ねぇ、べつにひとりでいることがイヤだったわけじゃないの。
ひとりで仕事をするのも仕方がないって思ってた。
でもね、それでもね。
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