ベランダの彼

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(1) 白線を越えてから、私は徐々にスピードを緩めていった。 足を止めると風はぴたりと止んで、むわっとした空気が全身にまとわりついてきた。 少しして先生がタイムを告げたが、それはあんまり納得のいくものではなかった。 私は思わず顔を上げた。 頭上には、気持ちのいいくらい晴れた青空が広がっている。 私は気持ちをできるだけ早く切り替えて、次の走りに備えたかった。 深呼吸をする。 何回かそれを繰り返した後、私は視線を地面に戻した。
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