ベランダの彼

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そのときである。 視界の端にあるものを捉えた。 私は、もう一度顔を上げてそれを凝視した。 校舎の一番端。 2階のベランダに人影が見える。 知らない男の子だ。 よく見ると、彼は大きなスケッチブックに鉛筆を走らせている。 そっか、あそこは美術室か…… ……美術部の人かな? そこに、風が吹き抜ける。 名前も知らない彼は静かだった。 そんな彼を見て、私はただ綺麗だと思った。 遠くの横顔に吸い込まれた私は、しばらく足を止めていたのだが、先輩の一喝で元の世界に意識を戻した。
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