きらきらの音。

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 二つに結んだ髪は腰まで長くて、いやに綺麗で目が勝手になぞる。 セーラー服の襟に結ばれた白いスカーフ──そして、これから弾かれる寸前の折れた中指に俺の目は寄った。  ぱちんっ。 「──痛いっ」 「集中」  一点集中したデコピンに我に返った俺はくりだした机一つを挟んだ対面の、女子を見た。 獅子ヶ谷優(シシガヤユウ)は頬杖をついてデコピンの手をひらひらと振る。 「ライ様痛いっすー」  獅子ヶ谷の獅子からライオン、そこから、ライ、というあだ名がこのクラスでは定着している。 俺にも定着している。 「次はロウの眼鏡に指紋つけまくる」  俺の名前は月見里狼(ヤマナシロウ)という。 呼び捨てが定着していて、ライにも定着している。 それは嫌だな、と眼鏡を指で軽く上げてノートに取り掛かった。
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