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「ね、お話ししましょ」 「……まだいるのかよ」 俺はベッドの上で覗きこんでくる顔を見上げた。 見知った天井だが知らないものがぷかぷか浮いている。 最初は幻覚かと思った。 「ね、いいでしょ?お話しましょうよ!!」 孤独な学生生活は覚悟していた。どうみても陽キャではないし、内面も陽キャじゃない。かといって陰キャが満足出来るような趣味で事足りているわけじゃない。 一人が平気な人間ではないのだ。 私立のマンモス大学なら誰か一人くらい話す相手が出来ると思っていたものの、出来なかった。 それはもう恐ろしいくらい出来なかった。 だから今こうして家でねっころがっているのである。 話をするなら同じ立場で。 それが会話の基本だと思う。 なら陽キャラだらけのあいだになぜおれなどが入っていけようか? 「ねえねえ」 しかしいくら孤独でも幽霊と話す趣味などない。 一年の大学生活が過ぎた頃、ああ俺の四年間はこうして終わるのかと予想を固めた。 授業のない空きコマが増え、ますます家に引きこもって終わるのかと。 読書して寝てゲームしてオ○○ーして過ごす日々。 そんな、無限の時間が生んだ幻か。 気がつくとそいつがそこにいた。 ふわふわ漂い、視界をさまようそいつ。     
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