第一章:新生活

2/13
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
見てしまったのは夜だった。 引っ越しそばを食べようということで、 夕食はコンビニで買ってあったカップ麺の天ぷらそば。 本当は、どこかお店の蕎麦屋さんの天ぷらそばが食べたかったけど、経済的に余裕ないのでカップ麺ですませた。 この日は、荷物運びとか諸々あり、 腰が痛かったので、早めに横になろうと思っていた。 夜10時頃、 さて、寝るかと、 飲みかけのお茶のペットボトルをジャージのポケットに差し、 腰に痛みがこないようにゆっくりとロフトのハシゴを一歩ずつ登ってっていたら・・・・・・ ロフトの薄暗い奥に・・・ 男が・・・ 居た!! 座っている!! ビックリして、ハシゴの途中で動きが止まる! アザラシが水面から顔を出しているかのように、 ローアングルで、 ただただ、男を凝視していた! 白っぽいシャツに黒っぽいスラックスの中年男性。 ちょうど、ハシゴを登った真正面の位置、 左の壁の奥の方、壁に背中をつけ、首を力なくうなだれて、足をダラリとロフトのフローリングの上に伸ばした状態で、自分から見ると右側に身体を向けて座っている。 こういう時は、何も言葉が出ない。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!