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恋、リスタート
「高橋、今回も残念だけど……」
放課後、美術室の前で入れ違いになった美術部顧問、遠藤先生が私に言葉を投げた。
いつもより低いその声に、強張っていた肩の力が抜けていく。
どんな顔をしよう。
一瞬考えて、結局いつもどおりの笑顔を作り、私は顔を上げた。
「はい。なんとなくわかってましたから」
──カチャ
手に持ったシルバーキーで鍵穴を解除して、そのまま、浮かない顔をして待っている遠藤先生に渡す。
「さっき学校宛に届いた報告書、後ろに貼ったから。次、がんばろう」
鍵を受けとった先生は、私の返事を待たずに、背中を向けて階段を降りていった。
──パタン
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