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「でも、お兄ちゃんだけは、許せないから」
彼だけには、残酷な死を――友樹は何度もメリーゴーラウンドに揺られながら、計画を見直す。そして誰にもばれないように仕掛けを施していった。
「来たぞ。お前、ずっとここにいたのか?」
そして約束の三時。何も知らない瑞樹は疲れた顔をしてやって来た。彼がみんなと別れて何をしているのか。すでに友樹は知っている。再入園できるシステムを悪用し、大学へと抜け出しているのだ。そこで英語の勉強をしている。これは、母親から聞き出したものだ。今は眠ってしまった彼女。もうすぐ行くから、待っていてね。それだけを考える。
「うん。お兄ちゃんと乗るならばどこがいいかなって考えていたから。こっち」
友樹はそう言うと、二人乗りのゴンドラへと瑞樹を誘った。そして柱の方へと瑞樹を座らせる。
「まったく」
瑞樹は何も気づかずにそこに座る。友樹は何気なく瑞樹の肩に振れ、死の仕掛けを施した。さあ、夢の時間の始まりだ。
楽しいメロディが流れ始め、メリーゴーラウンドはゆっくり回り始める。すぐに異変は起きない。しかし、徐々に瑞樹は首に違和感を覚えた。
「これ」
「お兄ちゃん。動かないで」
徐々に後ろに引っ張られ、さらに首が締まる感覚に、瑞樹は自分に何が起こっているのか悟った。そして驚愕の目で友樹を見る。しかし友樹は、ナイフをちらつかせて笑うだけだ。そのナイフにはべっとりと血が付いている。
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