第1章2 友達づくり

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第1章2 友達づくり

入学して半年ほど経ったが、私の胸はこれ以上ないほどに高鳴っていた。 「どうしたの?」 美香ちゃんは、私がいつもと違うことに気づいたのか声をかけてきた。 「美香ちゃん!」 「昨日、美香ちゃんが言ったように友達をつくるチャンスだよ!席替えだから、周りの人と友好を深められるよ!」 私が大きい声を出してしまったせいか、美香ちゃんはぼうぜんとしていたが、 「そうね、まあ頑張れ」 と言うといつもと変わらぬ美香ちゃんに戻った。 いいくじ引かなきゃ そんなことを考えていると 誰かが近づいてきた 「桃宮さん、次くじ引くの君だよ」 そう言われ顔を上げると近づいてきたのは男であることがわかった。 「教えてくれてありがとう」 そう言って、私はくじを引きに行った。 「ねえ、美香ちゃんは何番だった?私は40だったんだけど」 「私は1だよ。一番最初の席と一番最後の席だとはね。いや~果南すごく遠くなったね」 「みんな、席を移動してください」 先生が言ったので、席を移動した。 「あれ、桃宮さん。さっきぶりだね」 横の席から声がしたので振り返って見ると、くじ引くの君だよの人がいた。 やばい。何か返したいけど名前がわからない。どうしよう。 「えっと、僕の名前は 逢崎 雪 。よろしくね桃宮さん」 あいざき ゆき君か 「逢崎くん。あの、急なんですけど友達になってください!」 よし、言えた しかし、逢崎くんは明らかに戸惑っている様子だ。そうだよね、急すぎるもんね。 「えっ、うん…」 うん。ですって、なんていい人なんだろう 「これから、よろしく。あのさ、友達になったことだし僕のことは雪でいいよ」 これが、俗にいう呼び捨てというものだろうか。 困ったな、人の好意を踏みにじるのもいやだしな。 そうだよ、いきなり呼び捨てではなくまず雪くんから始めよう。 よし、言うぞ。 「雪くん、友達になってくれてありがとうございます。そして、これからよろしくね」
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