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「あっ!ほら見て!花火が打ち上がったよ!」
ひゅるる、というどこか間の抜けた音と共に空に鮮やかな赤色の花が咲く。
それが残光を残して散っていくと、次々と色採りどりの花火が打ち上がって、空を綺麗に彩っていく。
「・・・綺麗・・・私この景色忘れないよ。皆で見たこの景色を絶対忘れない」
ヒカリは力強く呟いた。けど、それとは裏腹にその目からは涙が溢れていて、その体は薄くなっていた。
「ヒカリ!か、体が・・・!?もう、なのか・・・?」
「あれれ・・・?この花火が終わるまではここに居れると思ったんだけどな・・・これでお別れみたい」
涙声になりながら、その目を擦って自分の姿を見た彼女は笑顔で悲しそうに呟く。
「あのね、みんな短い間だったけど本当にありがとう。この夏の思い出はどれも大切で・・・本当に楽しかったよ」
ヒカリは静かに立ち上がり崖の方に進むと、皆の前で立ち止まった。その体は白く輝きながら、少しずつ宙に浮いて消えていく。
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