第二話「発進! 笑いの機神」

3/12
前へ
/226ページ
次へ
 2つ、3つとランプが灯る。そして眼前、一際大きな明かりが、大きく丸く浮かび上がる。どうやら先程触った楕円形の箱の正体がそれのようだった。 「なにこれ? テレビ?」 <<モニターだ>> 「はー、モニター……」 <<ここまで来れば安心だ、ありがとうエミ>> 「はえっ?」  急に名を呼ばれ、どぎまぎする笑美。その声は優しく、しつこいようだがとてもイケている。年頃の女子ならオタクでなくともイチコロのやつである。 [アリガト……工三]  ポツポツ、と眼の前のモニタに文字が映る。有り難い事に日本語である。 「なんで片言やねん……ってぇ、エミやのうて『工三(こうぞう)』ってなっとる!! わかりづらっ! ボケが分かりづらいねん!!!」 <<素晴らしい……!!>> ピピピピピピピッ  途端、エミの周りから一斉に先程まで散発的だった電子音が鳴り続ける。  壁も足元も細かな光に埋め尽くされ、頭上からは大きな光が降り注ぐ。 「これ……は……もしかして」  ようやく全景が見渡せるようになり、周囲を確認し笑美は察する。 「コックピット!?」 <<その通りだ! ありがとうエミ、これで私は……!>>  ゴゴゴゴ、と地響きがする。  いや、その音は笑美のいる場所、厳密にはその周囲自体が発生源だ。 「うわっと、っとっとぉ!?」 ぐらり、と大きく一度揺れて、笑美は大きな声を出す。     
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加