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2つ、3つとランプが灯る。そして眼前、一際大きな明かりが、大きく丸く浮かび上がる。どうやら先程触った楕円形の箱の正体がそれのようだった。
「なにこれ? テレビ?」
<<モニターだ>>
「はー、モニター……」
<<ここまで来れば安心だ、ありがとうエミ>>
「はえっ?」
急に名を呼ばれ、どぎまぎする笑美。その声は優しく、しつこいようだがとてもイケている。年頃の女子ならオタクでなくともイチコロのやつである。
[アリガト……工三]
ポツポツ、と眼の前のモニタに文字が映る。有り難い事に日本語である。
「なんで片言やねん……ってぇ、エミやのうて『工三(こうぞう)』ってなっとる!! わかりづらっ! ボケが分かりづらいねん!!!」
<<素晴らしい……!!>>
ピピピピピピピッ
途端、エミの周りから一斉に先程まで散発的だった電子音が鳴り続ける。
壁も足元も細かな光に埋め尽くされ、頭上からは大きな光が降り注ぐ。
「これ……は……もしかして」
ようやく全景が見渡せるようになり、周囲を確認し笑美は察する。
「コックピット!?」
<<その通りだ! ありがとうエミ、これで私は……!>>
ゴゴゴゴ、と地響きがする。
いや、その音は笑美のいる場所、厳密にはその周囲自体が発生源だ。
「うわっと、っとっとぉ!?」
ぐらり、と大きく一度揺れて、笑美は大きな声を出す。
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