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「えっ、ちょ? なにす」
る、まで言うこと無く、目の前に広がる閃光と爆煙に笑美の思考がフリーズする。
光る直前に見えたロボットの左腕から何かが発射され、目の前の壁を撃ったのだとわかったのは煙が晴れてからだ。
<<飛ぶぞ、エミ>>
「はっ!? 自分何言うて」
その物言いには嫌な予感しかしなかったが、笑美の予感が現実になるまでわずか3秒しかかからなかった。
笑美の身体は座っているシートに押し付けられ、視界は猛然と今撃った壁の穴へと向かっていく。
「し、死んでまう……死んでまうって……」
襲いかかるGと目まぐるしく変わる状況に、それだけ絞り出すのがやっとだった。
そしてそのまま視界は空へと移る。どうやら、本当に飛んでいるらしい。
<<アカン、こらコクピットのG制御が切れとるな。エミ、最初に押したボタンを押しや>>
「は? 最初? 最初っていつ?」
<<キミが乗ったあとそこらじゅうベタベタ触っとったやんか、あの最初や>>
「覚えてるわけないやろ……」
ぐらぐらする視界と三半規管に耐えながら笑美は至極当然の返答を返す。あの暗闇では何をどう弄ったかなどわかるはずもない。
<<そか、せやったらこっちで設定するわ>>
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