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背後に着弾音。それを聞いて初めて笑美は、今「なにか」を避けた事に気づく。
<<大丈夫だ、十分回避可能だ……それより見ろ、アレが人を、世界を滅ぼすものだ>>
「アレって……な、なんやねん、アレ……」
スクリーンにはまだ小さい影だが、ワイプが拡大してそれを映し出す。
眼が無く、耳が無く、口の無い巨大な顔。
いや、ぱっと見ではそれはただの黒い球体だ。
何故それを顔と称するのか。
それは中央に人間の鼻としか形容し難い器官がはっきりと見えるからだ。
<<無情生物、アパシー。見ず、聞かず、話さず、当然ながら笑うことはない。人の『感情』と『生』を否定するものだ>>
「感情と、生……」
<<細かい説明は後だ……エミ、奴らを倒す。頼んだぞ>>
「頼んだぞって、アンタなぁ!?」
先程よりは若干ゆるやかに機体が揺れる。
笑美は理解出来ていないが、今度は回避ではなく攻撃に転じるために距離を調整しているのだ。
眼前の黒い球体は鼻のおかげでかろうじて正面だとわかる部分をその動きを追うように向けてくる。
目は存在していないが、確実にザウィンの動きを捉えているのだ。
<<そうだ、エミ>>
「な、なんやねん……」
ジリジリとした空気の中、急に話しかけてくるザウィンに戸惑いながらの返答。
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