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「まぁたボケ……とるのかこれ? ザウィン、結構分かりづらいな自分」
小さなバーニアの噴射音をさせて滑るように動き出すザウィン。
わずかな振動に身を揺られながら、ようやく怒涛の展開に一息ついたのか笑美は眠気を感じていた。
「ん……あれ、どこやっけここ……」
<<私のコクピット内だ。先程のキクジマの言葉を信じるならそろそろ到着のはずだ>>
「ん……あー。うん、そっか……」
目をこすりながらあからさまに落胆した声を出す笑美。
おおかたここまでの出来事が夢であることを祈っていたのだろうが、ご愁傷さまといったところである。
『都島くん、到着するぞ』
「あ、はぁい……はぁ」
笑美がうとうとしている間に高度を下げていたのか厚い雲が頭の上に広がっており、眼下に広がる海とのコントラストが美しい。
キクジマの機体が降りていく先には半島型の陸地が見え、その先端近くには明らかに基地でございという風体の無骨な建物が自己主張をしている。
「なあザウィン」
<<なんだろうか?>>
「アンタぜんっぜんボケへんな」
<<現在はキミの疲労回復を優先している、危急の状況もないのでな>>
「ふぅん……そういう気も使えるんやぁ」
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