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「あらためて、私が対アパシー部隊『Wallre-1(ワラーワン)』機動部隊隊長、キクジマ・ソメだ。いろいろと尋ねたいことはあるが、ひとまずは歓迎しよう」
「あ、ども、ええと……都島笑美、高校……とかあるんかなここ、ええと16歳です」
「16……若いな……いや失礼、どうしても笑機を動かすには過酷な訓練が必要なものでね」
そう言うと笑美の前でいかにも軍人然とした長身で角刈りの男性は深々と頭を下げた。
「ああ、いや止めて下さい、ウチも全然ワケわからんくて、真面目そうな人にお会いできてよかったです。ザウィンはボケよるからなかなか話ができんくて」
「ふむ……そのあたりも含め、いろいろと聞かせてもらわねばならないな。伝説の笑機、ザウィンを駆る少女よ」
「伝説のって……そない大層なモンなんですかアレ……」
笑美はこの基地の格納庫で、はじめてザウィンから降りた時のことを思い出す。
先程見せられたパチモン臭いトリコロールカラーの機体は当然ながらウソで、その後見せられた鉢巻サイリウム顔は一応本当だった。もちろんどちらも装着してなどいなかった。
が、そんなことよりも、その美しい機体に見惚れてしまった自分が悔しかった。
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