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「おっ、ええでええで、だいぶ聞こえてきたで、自分めっちゃイケボやんけ、もう一声! 声張ろ? な?」
うんうんと頷きながら囃し立てるようにパンパンと手を叩く笑美。明らかにこういう感じで導かれる人がとるべき態度ではない。
<<笑いを理解する美少女よ、滅亡に瀕したこの世界私と共に救ってくれ、そしてあわよくばラブに発展してくれ!>>
「注文多ッ!? そして図々しい!! どう考えてもこのシチュエーションで言っていい奴ではないやろ! まあ……? 美少女というのに免じて続きを聞いたるけども」
<<素晴らしい……選ばれし者よ、この世界を……『マ=ガオ』を救ってくれ……>>
「なんやようわからんけど……アンタんとこの世界がヤバいから助けてくれっちゅー話か? いやー、せやかてウチも普通の高校生やしなぁ……」
腕組みをして考え込む笑美。どうにもこの声には真剣さとか緊張感とか神秘的な感じが足りない気はするが、助けを求めていると言われれば無碍に出来ないのが彼女のいいところだ。
<<無関係な者に頼むのは心苦しいのだが……この世界の人間ではダメなのだ……どうか……あ、でも>>
謎の声がなにか引っかかったように止まる。
「でも? でもなんやの?」
<<言うほど美少女やないなぁ>>
「しばき倒すぞワレぇ!!」
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