第三話「遭遇! 残念部隊」

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 全体的にすらりとしたフォルムは直線と曲線のメリハリがあり、繊細さと力強さが同居して見える。ボリュームのある肩パーツの背面根本には先程飛ばしていた物騒な腹筋ローラー剣が収納されており、腕には真っ先に撃ったビームの砲門も確認できた。脚も細めでつま先の突き出したパーツが印象的だ。その繊細そうな造りを見て、基本的に飛ぶから走ったり蹴ったりする形ではないのだろうかと笑美は考える。  だがそういった細々としたパーツの特徴よりも、そのボディの各部を輝かせ、流れているように見えるオレンジ色の光と、それに照らされる白銀と黒のコントラストが見事なこの機体がとにかく美しくて、思わず 「カッコ……ええ……」  とつぶやいてしまった。  もちろんその声はザウィンにも届いていたらしく <<せやろ? 『マ=ガオ』で一番のイケメンとはボクのことやで>>  と思わずポーズをとりそうになり、格納庫のクルーをあたふたさせていた。 「いや、ホンマ、やなぁ……」  笑美ともあろうものがその言葉に気の利いたことも言えず、ザウィンに輝くオレンジの光が心なしか弱くなったかのようだった。  そのまま、ぼうっとした頭で笑美はクルーのあとについて、現在話している作戦室へと案内されたのだった。 「まずは座ってくれ、コーヒーでいいかね」 「あの、できれば甘いのを……」 「了解した。あとはそろそろ、ここの責任者が来るはずだ」  内線でコーヒーを頼むと、大きな楕円のテーブルを囲むように置かれた椅子の一つにキクジマも腰を下ろす。  先に座っていた笑美の正面から一つズレた位置なので、おそらく正面には彼の言う「責任者」が来るのだろう。     
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