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プシュッ、といかにも近未来の基地っぽい音がしてドアが開くと、総白髪の年配の男性が入室してくる。
キクジマの起立と敬礼を見るに、それが責任者で間違いはなさそうだったが、軍のお偉いさんというより見た目は好々爺といった風だ。
「ようこそ、『ワラーワン』の司令官、ノボウス・フツと言います」
「あ、ご丁寧にども……都島笑美です」
差し出された手に握手で返しながら、文化的に大きな差が無さそうなことに笑美は安堵する。
というか、ここまでの間に、近未来的すぎる施設以外笑美には自分の世界との差がわからなかった。
ザウィンが言うように、ここが本当に別の世界なのかという疑問すら湧いてくる。もしかして壮大なドッキリで、あの敵やザウィンもVRだかAR的なものではないのかと思いながらしげしげと握った手を見る。
「なにか?」
「あ、いえ、ええとあんまりゴツい人やないんやなって」
手を離さない笑美を不思議に思ったのかノボウスと名乗った男性に尋ねられ、笑美はそう返す。まさか実在の人間か確認していたなどとは言えなかったが、咄嗟に出てきた言葉もウソではなかった。
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