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ワレェワレェワレェワレェ……
「んはぁっ!?」
ガバッと布団を跳ね上げて飛び起きる笑美。部屋にはまだ寝言のエコーが響いているし、自分の大声で耳はわんわんと鳴っている。
「あ、あほらし……」
我ながらなんという下らない夢を見たのだろうとため息をひとつ。
「げっ、口臭っ」
朝一番のため息の、美少女にあるまじき香りに自らひとツッコミ入れて、いそいそと布団から這い出て洗面所へと歩いていく。
子供っぽいのはイヤだと高校になった時に買ったジェラがピケったような(しかしパチモンの)パジャマ……ではなく、大型スーパーの衣料品売り場で1980円の色気も可愛げも特に実装されていないパジャマの隙間からポリポリと脇腹を掻きながら歩く姿は……
<<言うほど美少女やないなぁ>>
「やっかまし!」
やたらはっきりと頭の中に残る夢の中のイケボを振り払うように、大げさにうがいをして歯磨き粉と共に吐き捨てる。
友達と一緒に選んで買ったあのパジャマは「なんかゴワゴワする」と言ったきり、タンスの肥やしだ。もしパジャマパーティーとかに呼ばれたら着るかもしれないが、高校2年も半分を過ぎてそのような催し物のお知らせが彼女に届いたことはない。
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