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さて、しかして異変はすぐに訪れた。笑美が学校に行こうと家から外に出た瞬間からそれは始まった。それもずいぶんと唐突で不躾で、フランクな感じで。
<<何時くらいやったらこっち来れる?>>
「はぁ!?」
突然かけられた声に、笑美は目を白黒させて辺りを見回す。が、声の主は何処にもいない。ただし、その主には心当たりがあった。夢の中のイケボである。
「いや、いやいやいやいや」
首をぶんぶんと振ると、まだ残暑が完全には抜けきらい9月の朝の生ぬるい空気が顔を撫でる。せめてこれが真冬でもあれば消えたかもしれないが、この程度の刺激で消えるほど
<<いや、せやから何時くらいやったら来れるかって聞いとんねん>>
この幻聴は大人しくはなかった。
「友達の家ちゃうんやぞ!?」
さすがのツッコミモンスター笑美と言えどこの状況では、さすがにこの程度のツッコミが限界である。
「あのなぁ……なんか知らんけど、ウチはそんなん行かへんからな、朝から何度言わすねん」
<<でも自分ヒマやろ……彼氏もおらんし、友達とのカラオケもパスしとったやん>>
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