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「それはアンタが頭ン中でわちゃわちゃ喋り続けとるからやろがい! 友だちの前でイマジナリーボケにツッコミ入れとったらおかしなったと思われるわ!」
彼女に降り注ぐ幻聴は結局、日中ずっと、授業中であっても止むことは無く、現在この帰宅の途においても絶好調だった。
笑美にとってとめどなく降り注ぐボケ含みの勧誘は拷問のようだった。なにせおおっぴらにツッコめない。
授業中に「オカンか! 帰宅一番に手洗いうがいを薦めてくるオカンか!」みたいな例えツッコミでもしようものなら、クラスの皆からおかしな目で見られてしまうと必死に自分を抑え込んでいた。
まあ実際それをやったとして、クラスメイトからは「あれ、授業が退屈すぎてツッコミモンスターがついにツッコミ欠乏症でおかしくなったかな?」くらいにしか思われないので、彼女はまだ自分の評価を甘く見ているところがあるのだが、それを自覚させるのは年頃の乙女には酷というものだろう。
「あーもううるッさいわぁ……ちょっと待ちぃや……」
<<そのー気なんの気こっち来る気ー?>>
「聞いたこともーない気ですからー、ってアホぉ!」
歌ネタには律儀に歌でノリツッコミをして、住宅街の脇にある公園へと入っていく笑美。制服がシワにならないように一度だけスカートを気にしてからベンチにドカっと座る。
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