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「そいつの言うとおり、今後奏多を口説きに来たとしても、おまえが靡かなければいいんだし。迷惑だと思うような口説き方なら、そう言って断ればいい」 「でもさ。はじめから応える気がないなら、口説くとか不毛だと思わないか?」 「だから、それはそいつの自由だろ。不毛だろうと口説きたいんなら好きにさせればいいし、おまえが迷惑だと思ったらそう言えばいい。迷惑だってちゃんと伝えたら、そいつなら引くんじゃねえか」  確かに、その辺の分別はある男な気がする。慶一に対する第一印象がそう感じさせた。 「つか、なんで断ったんだよ。試しに付き合ってみてもよかったんじゃねえのか」 「バカな事言うなよ」 「バカな事でもねえだろ。俺に告白してきたくせに」 「何年前の話してんだ! さっさと忘れろ!」  自分でも忘れたいと思っている記憶を引き出されて、奏多は苛立たしげに怒鳴った。  同性からの告白に驚き戸惑いはしたが、きっぱりと拒絶をすることもできず、ここまで悩んで幼馴染に相談する理由はただ一つ。奏多は自覚のあるゲイだからだ。     
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