序章二

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序章二

スマートフォンがメッセージを受信し、小さな音を立てて光った。眠りはいつも浅いから、すぐに目が覚める。枕元に置いてあるスマートフォンを立ち上げて、受け取ったメッセージを読んだ。 そしてその二文字に込められた想いを受け止めると、心の中でささやきかける。 大丈夫。大丈夫だよ。離れていても、気持ちは一緒にあるからね。 それからすぐに短い文章を打って返信すると送った瞬間、既読マークがついた。 真夜中の暗がりで一人、灯りも点けず布団の中でスマートフォン画面の明かりだけを頼りに、ただひたすらメッセージを受け取り、返事を送り続けた。 それは二人にとって何にも代え難い、大切な時間。 実際のところはお互い、一人きりで闇に包まれていることだろう。けれど電波に気持ちをのせてやり取り出来る、この携帯端末機器が二人を繋ぐ限り、共にあることが出来るのだ。
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