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「俺がいつどこで何をしようが、サラには関係ないだろ。人の世話なんか焼いてないで、お前は大学行けよ。授業あるだろ」
あえて突き放すような言い方をして、沙羅が怯むのを確認すると、和希は再び歩き出した。
ところがしばらく歩いていると、小走りしながら近づいてきた沙羅が、和希の後ろを今度は黙ってついてくる。
和希が立ち止まると、沙羅も止まる。和希は振り返り、今度は真正面から沙羅を見据えると、彼女は瞳を逸らせてうつむいた。
全く、何でコイツは……
沙羅の想いを和希は知っている。それに救われたこともあるし、何かあればそれを支えにしてきた自分がいることも、自覚はしていた。
本気でそれに応えるつもりはないくせに。
堪えがたい寂しさを紛らわす時にしか、相手にしないくせに。
そんな関係には先がないし、もうすでに行き詰まりつつあると和希は感じていた。
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