第3章 昼行燈との出会い

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ

第3章 昼行燈との出会い

4月1日、着任の日である。自動車警ら隊は本部の組織であるが所在地は別だった。 言われた場所に向かうと警邏用のパトカーが横一線に並んでいた。 庶務係に事情を説明すると、「隊長は公務で本部に行かれていますので、副隊長に着任の申告を行ってください」と言われた。 事務所に行くと隊員が一斉に俺のほうを見た。みな職質のプロであるため目つきが鋭い。俺は副隊長 兼 管理官の田中大介警視に着任の申告を行った。田中副隊長はノンキャリアで地域部と生活安全部の所属の長い生え抜きの管理職である。 俺「山居直樹巡査、4月1日付で地域部自動車警ら隊勤務を命じられ、只今着任いたしました。」 副隊長「御苦労。君が職質が下手なのにウチに異動になった山居君か。ま、よろしく。さて、君の相棒だが、あれ、いないな。おい!森本さんは何処だ!まったくあの人は」 すると扉があき「おはよ~。」と眠そうな声を上げた年配者が入ってきた。 副隊長は目を吊り上げて、 副隊長「森本さん、「おはよ~」じゃないですよ!今日からあなたの相棒が来るから早く来てくださいってあれほど言ったじゃありませんか!!」 森本と言う男性はだるそうに答えた。 森本「すいませんな、副隊長。昨日飲みすぎちゃって。で、彼がその?」 副隊長は大きなため息をついて、 副隊長「山居巡査です。山居君、彼が君の相棒の森本警部補。通称:昼行燈の森本。」 森本は笑いながら 森本「”昼行燈”はないでしょう。森本です。虐めないでねぇ。」 俺はすっかり気が抜けてしまった。 俺「マジかよ。こんなやる気のない爺さんとコンビ組まされるのかよ。」 とてつもない悲壮感にかられた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!