第1章 警察への憧れから地獄の日々へ。

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 出動すれば罵声を喰らい、寮に帰れば先輩にこき使われる日々が3年たち異動の内示があった。機動隊から異動できると聞いたときは正直嬉しかった。地獄のの日々が終わるのだと。  次の異動先は中署の地域課だった。中署はO県警の大規模署であり管轄も広い。俺は再び交番勤務に就いた。北署の時のように明るい日々が待っている。そう思った。だが、現実は甘くなかった。歓楽街が管轄内にある中署は酔っぱらいの喧嘩、飲食店とのトラブル、イキって家出してきたガキの対応に追われた。休む暇なんてなく極めつけはあのババァである。もうウンザリだ。やがて、自分は適正がないのではと常に考えるようになった。  そんな今までの人生を仮眠室で思い出していた。父やドラマに憧れ警察官になるためだけに過ごした日々。気が付けば25歳。警察官7年目である。「もう警察なんかやめて、レスリング選手がCMやってる警備会社にでも入ろうかな。」そう思うようになり、退職するかどうか決めかねていた。
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