第1章 警察への憧れから地獄の日々へ。

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誰もいないのを確認した後思わず舌打ちをした。「チェ、あのクソババァが!。」沸々とこみ上げる感情をどう抑えるか考えていた時、自転車のブレーキ音がした。「ただいまぁ~。」とのんきな声を上げ、内藤先輩が巡回から戻ってきた。俺が機嫌の悪い顔をしていたので、察しがついたのだろう。 内藤先輩「あの婆さん、また来てたのかよ。今日は何だって?。」       俺「気づいてたなら、助太刀くらいしてくださいよ。」 内藤先輩「悪い悪い。あの婆さんしつこいからさぁ。」 あのババァはこの地区を担当する警察官なら誰もが知っている。やれゴミの集積場にカラスが群がっている。郵便屋の年賀状販売がくどい。近所の大学生の部屋から音楽が聞こえるなどなど挙げればきりのない苦情を頻繁に持ち込んでくる。はっきり言ってどれも警察の仕事ではない。 内藤先輩「婆さんの話し相手で疲れたろ?ここは俺がやるから奥で休んで来い。」    俺「すみません。じゃあ、お言葉に甘えて。」 と言い奥の仮眠室に向かった。仮眠室は畳4畳ほど。ちゃぶ台に座布団、ポットが置いてある。 仮眠室に入ると警棒や手錠、拳銃をつけている帯革(たいかく)というベルトを放り、仰向けに寝転がった。木目調の天井を見ながら考えた。「やっぱりサツカン(警察官)には向いてねぇのかな。」  
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