第1章 警察への憧れから地獄の日々へ。

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 警察学校の後半はより実践的なものになっていく。警察学校には模擬交番という建物がある。ただ、警官ごっこをするわけではない。実際にこの模擬交番で当直勤務に就くのである。拳銃に実弾を装填してほかの装備と共に携行し、校内の見回り、無線報告、外部の人間の入退校管理、当然道も聞かれるので道案内など実際の交番勤務さながらのことをするのである。これは後々の現場で大切になるので、皆真剣だ。  寝間ぐるしいような10カ月を何とか過ごした俺は警察学校を卒業した。警察学校を卒業すると、卒業配置略して”卒配”という最初の配属先が決まる。卒業生は県内の各警察署の地域課に配属される。女性警察官は一昔前は交通課だったが、今は皆平等に地域課に配属される。俺は北署の地域課で交番勤務に就いた。北署はO県警の中でも平和な署であり地域住民も優しく、「あら、新人のお巡りさん?頑張ってね。」と声をかけてくれる人までいた。何もかもが平和だった。  北署地域課で2年間交番勤務をした後、次の異動で機動隊に配置換えになった。北署とは打って変わって地獄の日々だった。機動隊は警察内でも体育会系色が強く、先輩の指示には絶対服従。 
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