第1章 警察への憧れから地獄の日々へ。

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 毎日毎日、十数キロの装備を付けグラウンドを走った。警察学校でも警備訓練というものをしたが、それはほんのさわりだけ。駆け足訓練が終わると嘔吐する者もいた。それだけではない。寮に帰れば先輩の靴磨き。自分の顔が見えるまでピカピカにしなければ先輩が納得するまで腕立て伏せをさせられた。一般企業なら間違いなくパワハラである。父の若いころは学生運動の盛んな時期であり機動隊は花形部署で、異動志願者の数も多かったという。今は機動隊はただキツイだけの職場であり、若手の警察官は誰も行きたがらない。機動隊に異動が決まったと告げられると顔から血の気が引く人間もいる。それほど過酷なのである。時々「機動隊?あの、楯持って青いヘルメット被ってじーっと立ってるやつか。」と言うふざけたやつがいるが、立つだけならかかしでもできる。機動隊は治安維持のための部隊でありテレビで見る光景はほんの一瞬である。機動隊は細かな職種に分かれている。立て籠もりなどに出動する銃器対策部隊。山で遭難した人を捜索する山岳救助隊。溺水者を救助する水難救助隊と実にさまざまである。
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