1人が本棚に入れています
本棚に追加
/54ページ
入ってきたのはスポーツウェアの高校生二人組、ヤマノウチとその先輩、タルキだ。
「いらっしゃいませ」
「プロテインコーヒーを2つ頼む!」
「かしこまりました」
マスターがちゃきちゃきと注文の品を淹れる。
その間、客の二人は自前のタオルで顔を拭き、席について一息ついていた。
「ヤマノウチ!今日は僕のおごりだ!」
「まじっすか先輩!あざっす!」
「ああ!今日は新記録も達成したしな!」
彼らは陸上部、それ故に夜遅くまでこうして自主練習をした後、この店で一息ついて帰路を辿るのが日課であった。
「おまたせしました。ご注文のプロテインコーヒーです」
「「ありがとうございます!」」
「会計お願いします!」
「1040円です…はいちょうどですね」
「「ごちそうさまでした!」」
ゴクゴクと競うようにコーヒーを飲んだ彼らは、手早く会計を済ませ店を出て行った。
「相変わらず嵐のようだねぇ、それで?」
「彼ら、あのように練習熱心な子たちなので」
「なるほどね、ここに来るときにはもう10時を過ぎているというわけか」
カップを洗いながら、マスターは少し考えた。そしてすぐに考えるまでも無いことだと思い至った。
「よし、閉店時刻を11時に変更しよう」
「だからあまり言いたくは無かったのですが」
最初のコメントを投稿しよう!