喫茶店から始まる日常

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「爺さん、じゃあさ。幸せな人生って何なんだろうな。沢山金を集めて、それで人の上に立つってのは簡単に想像できて楽しそうだけどさ。人としての幸福っていう感じはしない様な気がするんだよね、とは言ってもそれに代わるものがあるかって言われたら困るんだけど」 「若者よ、それはな……」 クソ、だから何なんだよこの無駄なため。ダメだ、こいつらのペースに乗ったら思うツボ……素知らぬふりを貫くんだ。 「人それぞれじゃ」 「いや何でそうなるんだよ!」 やってしまった、遂に口に出してしまった。そら見ろクソ、シンジの奴ニヤニヤ笑いやがって……。でもそれにしたってこの爺さんの答えもないんだよな。 「コイツは爺さんの経験に則った答えを求めてるわけで別に一般論を言ってくれって頼んでるわけじゃないじゃないですか。 あくまで一人の人が出した答えっていうのを求めてるわけで……」 「若者よ……」 グッとここで堪える、さっきまでの流れを知っているにも関わらず何故かこのためには口を挟んではいけない様な雰囲気がする。 「ワシはそこまで年寄りではない」 案の定のピントのボケた答えにため息を吐く、シンジのニヤニヤ笑いは止まらない。 俺は軽く首を振るとコーヒーのお代わりをマスターに頼む。 だが、どうもマスターも奴等のグルな様で特徴的な口ヒゲをチョイチョイつまみながら俺に忠告して来た。     
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