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「癪だけどその点は感謝してるさ、けどさ、この状況で推理って必要か?」
「最後まで聞け、様式美というのもあるだろうが。まあ吾輩のこの灰色の脳細胞が活躍しなかったのは残念ではあるがな」
タガヤは深く目を瞑り、顎に手を当てる。なまじ身振りや服装、外見は良いせいでこのワンシーンだけを切り抜けば優秀そうなやつに見えるが、油断してはいけない、コイツは方向性こそ違うがヤマノウチと同レベルのバカだ。
「この連続傷害事件の犯人、それは貴様だスズキ!なぜなら生体パーツ屋の店主ほどの戦闘力を持つ者を倒せる輩など吾輩は貴様しか知らん!」
ピシッとスズキを指さしたタガヤは「決まった…」とでも言わんばかりの表情だ。
だが違う、そうじゃない。どうして貴様の目には指さしたスズキの背後でお昼寝する桃ノ木さんの腕部パーツを咥えた桃ノ木家の愛犬ハナちゃん(犬種:ギガントレトリバー)が見えんのだ!
思わず叫びそうになるが、スズキに手で制される。
「ふっ、ばれてしまいましたかタガヤ先生、ええ私がこの事件の犯人です」
「お前何を…」
「潔いのは良いことだぞスズキ、さあ縄につけ、警察に引き渡す!」
「しかし…」
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