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眉をしかめている男性に、カディアと呼ばれたあの優しげな彼はにっこりとほほ笑む。
「入り口で困っていたので、招待したんですよ。どうぞ、座ってください」
彼……カディアは丸い石の上に荷物から取り出した敷物を敷いて、アーシャに座るよう促した。突き刺さる視線が少し気になるが、アーシャはその上に腰を下ろす。
「お名前は?」
「え? ……あ、アーシャです」
「可愛らしいお名前ですね、とてもぴったり合っていますよ」
「そうですか?」
よく見ると、カディアと呼ばれた彼は色が白く、とても端正な顔立ちをしている。アーシャが暮らしている町にも、こんなにかっこいい人はいない。見惚れて、ほうっと先ほどとは種類が異なるため息をつく。
「私の名前はカディア、こっちの不愛想はユスフと言います」
「カディアさんと、ユスフさん……すいません、お世話になります」
アーシャが頭をあげると、ユスフは鼻を鳴らした。……ユスフはカディアと比べて浅黒い肌をしていて、たくましい体をしていて服の上からでも筋肉質であるということが分かる。
「アーシャさん、お茶はいかがですか?」
カディアは茶碗をアーシャに差し出した。ゆっくりと白い湯気が立ち上っている。
「え?いいんですか?」
「ええ、私のブレンドティーですが……」
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