181人が本棚に入れています
本棚に追加
その言い方やもじもじと恥ずかしがる仕草が愛おしくて……衝動に任せて、腰と背中に手を回し、そのまま口づけた。
「んん……!」
美沙子さんは最初驚いていたが、すぐにふっと力を抜いて口づけを受け入れた。唇の柔らかさを堪能してから、ゆっくりと話していく。
「あのさ、美沙子さん」
「な、何瀬戸くん?」
「その、『瀬戸くん』って言うのやめてよ」
「え……? で、でも瀬戸くんは瀬戸くんだし……」
「さっき、『和樹くん』呼んでたじゃん。それで呼んで?」
「で、でも……」
「おねがい。プレゼントだと思って、さ」
俺の腕の中でもじもじとしている美沙子さんは、少し経ってから小さく『和樹くん』と呟いた。そのイチゴみたいに赤くなった頬に触れ、上を向かせる。美沙子さんの目が、潤んでキラキラと光っている。その瞳の中に、嬉しそうに笑う俺がいた。
そのまま、今彼女に呼ばれた名前ごと、唇を塞ぐ。ケーキも何も食べていないのに、美沙子さんは甘かった。
最初のコメントを投稿しよう!