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ここは漫画家である桐生修史先生の仕事場で、新米編集である私は今、女子高生の制服を着て桐生先生のアシスタントである三山さんと共に、桐生先生の新作のために……『痴漢プレイ』なんてやっている。
どうしてこんな目に合っているのか……ちょっと前まで、時間を遡る必要がある。
***
「イヤ! それだけは絶対イヤです!」
「お願いします! この通り! 頼める人なんて涼香ちゃんしかいないんだよ、頼むよぉ」
「そんな事言ったって……なんで次の特集の痴漢物のために、私がそんなプレイに付き合わなきゃいけないんですか!?」
大学を卒業して入社した念願の出版社。本当は女性向けファッション誌の担当になりたかったのだけど、配属されたのはなぜか成年向けの漫画編集部。でも、ここから異動した人もたくさんいると聞いて張り切って仕事をしていたけれど……今、目の前で土下座せんばかりに頭を下げている桐生先生が厄介者だった。ことあるごとに「ネタがない」とか「いい構図が描けない」など我がままめいたことを言って私を呼びつけ……。
「すいません、遅れました」
「三山君、待ってたよ~」
「私待ってないです!」
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