176人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
私が唇を噛むと、桐生先生の笑い声が聞こえた。すっと三山さんの体が離れたと思うと……どこからか、電車の音が聞こえてきた。そんな環境音まで用意しなくたっていいのに。そんな風にリアルを突き詰められてしまうと。
「はい、じゃあスタート」
元役者でもある、アシスタントの三山さんのスイッチが入ってしまうのだ。
「ひゃ……」
『痴漢役』に入り込んでしまった三山さん指先が、私のお尻にそっと触れる。幾度か触れて、私が『抵抗できない』ことをいいことに、大きな手の平でそっとお尻を撫でまわし始めた。その手を掴もうと私が手を伸ばすと、三山さんは吊革につかまっている私の手をぎゅっと握った。
「や、やめてください……」
私がそう言っても、三山さんの手の動きは止まることはない。お尻を撫でまわしたと思えば、時折柔らかく揉みほぐそうとしてくる。
「ん、んん……」
どれだけ腰をよじっても、三山さんの手はぴったりとお尻に張り付いて離れない。それどころか、その手は過激さを増していく一方。短めなスカートをめくり、うち太ももの柔らかいトコロにそっと触れる。その感触を楽しむように柔らかく揉まれる。時々、下着の中で震える小さな突起に手が触れた。
「あっ……」
私の口から、思わず蕩けた嬌声が漏れる。
「感じる?」
そんな私の反応をじっと窺っていた三山さんが、耳元でそっと囁いた。
「『電車』なのに、こんな風に痴漢されて感じちゃうんだ」
「や、ちが……」
最初のコメントを投稿しよう!