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つけっぱなしのテレビでは、「夢と魔法の王国ランド」で子役アイドルのタマちゃんという女の子が綿菓子を食べたり、コーヒーカップに乗ったりしている光景が映し出されている。
タマちゃんは人気子役で、サツキも大好きだ。
そのタマちゃんと一緒にいるレポーターの女性がクマのジョッキに注がれたビールを手にして
「大人も楽しめますよ、この遊園地ではビールなどのアルコールも充実しています」
と、満面の笑顔でレストランの紹介をしている。
ワンワンを抱いたまま、サツキがテレビを見始める。
「パパとママが飲むのと一緒だ。ママ、大好きだよね、パパよりいっぱい飲むもんね」
「そ、そうだね」
子供はよく見ている。
タマちゃんがウォータースライダーに乗って、とても楽しそうにはしゃいでいる姿を見ているサツキが目を見開いて、うらやましそうに指をさして言う。
「わ~、滑り台みたいだ」
「サツキ、滑り台大好きだもんね。今度、あの遊園地行ってみようか……」
と言いながら、私はあることを思いついた。
「サツキ、家でもタマちゃんが乗ってるのより小さいけど、ママが滑り台、作るよ!」
サツキは私の方に駆け寄り「ママ、ホント?ホント?」とうれしそうに言う。
「ホントだよ。でもお願いがあるの。それができるのはお風呂なんだ。だからサツキ、頑張ってお風呂まで来てくれる?」
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