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「ママ、サツキも一緒にルウになる」
サツキはバスルームに入り、私に抱きつきながらおそるおそるバスタブをのぞく。
お風呂の蓋でサツキを滑らせるのは危ないかもしれないと思った私は、自分が滑り台になればいいと思いついた。
「ママが滑り台になってあげるね」と言いながら、サツキをお風呂椅子に座らせたあと、私は服を脱ぎ、バスタブから蓋をはずして、サツキをだっこして湯船にそうっと入る。
サツキは私にしがみついている。
「ほーら、ママ滑り台だよ~」
サツキを私の膝に乗せたあと、両脇を持って高く持ち上げる。そしてサツキを私の体に滑らせて、ゆっくりお湯にサブーン!
サツキの体を私の体に密着させたまま滑らしたので、サツキも怖がることなく、キャーキャー言いながら「もう1回!」とリクエスト。
何度も何度も私の体を滑っていくサツキ。
髪が濡れて、私と同じように河童のルウになったサツキは「サツキもルウになった?ママ、河童のルウになった?」と何度も聞いてくる。
「サツキもルウだよ」
お風呂の小さな鏡に映った自分を見て、サツキは「ルウだ~!」と叫ぶ。
そして、湯船に入ったまま、二人でバスタブの淵をカウンターにレストランもオープンした。
お風呂のおもちゃコップに泡ソープを入れて「ビール」、石鹸入れに黄色いスポンジを乗せて「卵焼き」を作り、サツキは泡ソープビールを私に差し出して
「ママの大好きなビールだよ。どうぞ」と渡してくれた。
私はビールを飲むふりをしたあと、「ビールで体も洗っちゃおう」と言いながら、サツキの体と髪を洗う。もう「いやいや」することはない。
私とサツキは湯船につかって温まりながら
「ここは河童になれるお風呂ランドだね」と私が言うと「ママ、サツキ、明日も来る。お風呂ランド大好き!」。
私は、娘をギュっと抱きしめた。
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