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「というわけで、無事に任務を遂行して参りました」 帰ってすぐに、私はちーちゃんに事のあらましを説明した。 「それで、愁君とは?」 「特に何も」 そう、特に何もなかった。 「ごめん、汚しちゃった。洗って返すわ」 そう言われただけだった。 「なるほどね。でもこれできっかけは出来たわけね」 ちーちゃんはニヤリと笑っている。我ながら悪い笑顔だ。 「あ、そうだ。リエはどうしてた?」 「リエはね」 彼女も確かにあの場にいた。バチンッと音がした後彼女はすぐに隣の教室から出てきたけれど、その時には既に私が愁君の隣に座っていた。 「それはよかった」 「で、これからどうすればいいの?」 ちーちゃんはチラリと私を見て肩を竦めた。 「さあね。ここからは私も未知の世界だから。後はあんた次第」 「ええ!何それ!」 だって、と彼女は言った。 「私はハンカチを渡せなかったの。私の代わりにハンカチを渡したのは、リエ。そしてその後二人は付き合い始めた」 私は言葉を失った。 「つまり、ハンカチがきっかけって事?」 「そういう事」 なんてことだ!愁君の鼻血は、私の人生において重大な事件だったのだ。でも待て。それならば、今日ハンカチを渡したのが私ということは… 「私が王子様の彼女に?」 ちーちゃんはまたニヤリと笑い、私の肩を強めに叩いた。 「頑張んなさいよ」
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