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「だから、結局変えられなかったって言ったの?」 「そう。愁君との過去が変えられたら、離婚も止められるかなって少し期待してた」 でも違ったね、と笑う。笑いながら、泣いていた。 「ねぇ、千代。一つだけお願いがあるの。どんなに辛くて苦しくても、今、この瞬間をしっかり生きて。諦めないで、戦って。そうする事で、未来のあなたを救える。私達の未来を、救える」 「もしも目が覚めて、28歳の私が生きていたら、私も向こうで戦う」 ちーちゃんは私の右手を両手でギュッと握った。 「大丈夫。あなたは一人じゃない。私も一人じゃない」 だって、私はあなたなんだから。 そう言ってちーちゃんは、私を強く抱きしめた。  翌朝起きると、ちーちゃんは消えていた。
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