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そして3日後。
いつものように学校へ行く準備を終え、行ってきますとちーちゃんに告げて部屋を出ようとした時のこと。彼女が突然
「ああ!」
と大声を上げた。
「どうした?」
「いけない!ねぇ、今日英語の小テストの日?」
「そうだけど」
「やっぱり!」
ちーちゃんは小走りで箪笥に向かい、引き出しの中からハンカチを取り出した。
「これ持っていって」
「ハンカチ?もう持ってるよ」
「それはポーチに入れてあるやつでしょ。これはスカートのポケットに入れておく用。今日一日、これを肌見離さず持っていて」
彼女は私の右手を取り、紫色の花柄がいっぱいに散りばめられたハンカチを握らせた。
「いい?今日、愁君が鼻血を出すはず。その時、私は…というか、あんたは愁君の近くにいるから、誰より早く彼にこれを渡すのよ。これで血を拭いてって」
ちーちゃんがこれから起こる事を話すのは初めてだった。愁君が鼻血を出して、私はハンカチを渡す。一体何の事だかわからないが、余程重要なのだろう。彼女の目は真剣だ。
「誰より早く、ね。リエって子いるでしょう?あの子には要注意。あの子より早く、愁君にハンカチを渡してね」
「わかった!任せて!」
私は大きな声でそう言って、元気よく部屋を出た。
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