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ともかくこうして今回もまた、旦那の涙ぐましい愉快な戦いが幕を開けた。
通りすがりのチビを撫でようとすれば、体を器用に捻ったチビにその手を避けられ、煮干しで釣ろうとすれば、一瞥も貰えずに無視される。これまで以上に、あの手この手でチビを籠絡しようと試みるが、全ては失敗に終わった。
「構い過ぎだと思うよ」
「いや、もう少しで打ち解けられるんだ」
結婚前から気になってたんだ。
その謎の前向き思考はどこから来るわけ?
案の定、とうとうチビは旦那の前に姿を見せなくなった。
打つ手が無くなった旦那が私に縋ってくる。
「もう、どうすればいいのか」
「構い過ぎだって言ったでしょ」
「うう……」
大きな体を縮こまらせて項垂れる旦那。
原因が旦那にあるとはいえ、さすがに見ていて可哀想になってきた。
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