ボーイミーツガール

1/6
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

ボーイミーツガール

後悔病。 僕、烏丸幸人が名付けたその名前は僕の今までの人生を表していると思う訳である。それは夢や恋愛など本当に様々なことであるのだけれど、あの時もっと努力をしていれば、タイミングが良ければ。「たら、れば」なんて言葉は無限に出てくる。 元来人はそういう生き物であり、それを乗り切った人が夢を叶えることが出来たりしていくのだろうと僕は思う。 大学時代はそれなりに楽しかった。 軽音楽部に所属をし、友達は沢山できたし彼女だってそれなりにできていた。側から見ればきっと充実した大学生という感じで映っていたのだろうと思う。 しかし今現在後悔の念が僕の心のどこかに住み着いている。 大学を卒業して4月を迎え僕は社会人となった。 就職活動の時期、僕は凄く迷っていた。 僕は飽き性なのだが服だけは本当に好きだった。卒業後、もう一度専門学校に入り直してデザイナーになりたい。そういう気持ちがなかったわけではない。ただ、親に負担をかけることになるとか、いざ行動に移すとなると勇気が出ないだとか、安定性がないだとか色んな言い訳を繰り返して結局は諦めた。 結局だらだらと就職活動をしてなんとなく内定の出たアパレル会社で働くことにして東京に出ることにした。 いつもは仕事を終え21時頃に帰宅するのだが今日は色々と済ましているうちに0時近くになっていた。 家は大通りから小さな路地に入った少し入り組んだ所にあり、美容室が1軒ある以外は静かな場所である。 今まで気づかなかったのだが0時になっても美容室は暖色の光を灯して、小さな路地を照らしていた。 こんな時間までお客さんがいるのだろうか、と思い立ち止まり中を少しの間見ていると中から1人の女性が出てきた。 女性は僕を見るとくしゃっとした笑顔で 「こんばんは」と言ってくれた。 プライベートで女性に会う機会も無かったせいか ドキドキしてしまいそそくさと家に足を向けてしまっていた。 家に着きコンビニでさっき買ったカップ麺にお湯を注ぎながらさっきみた女性を思い出してみる。 おそらく歳は同じくらいだろう。 花柄のワンピースに首元で切り揃えられたハイトーンの髪。 「可愛かったなあ……」 独り言とすっかり伸びてしまった麺をすする音が交互に部屋に広がっていた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!