第1章

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家政婦が来るようになって2ヶ月がたった頃 スポンサーとの会合で遅くなった高村くんが帰ってこなかった。 お酒を飲むから先に寝ててと朝言われていたから、昨夜は帰ってくるのを待たずに眠りについた。 今朝目覚めたとき、隣にあるはずの温もりが無かったことに、寂しさと切なさを感じて悲しくなった。 もう少しで泣いてしまいそうだった。 洗面を済ましタオルで顔を拭いていると、鍵を開ける音が玄関の方から聞こえた。 高村くん 走って玄関に向かうと、入ってきたばかりの高村くんがいた。 顔を見ただけで心が震える。 「寂しかった。」 涙が一筋ツツッと頬を伝いった。 「夕貴?」 飛び付いた私を高村くんが不思議そうな顔で、抱き締める。 「寂しかった!」 「あはは、夕貴は寂しがりやになったな。昨夜は2時まで連れ回されて、へべれけだったんだ。酒の臭いで夕貴を起こしてしまいそうだから、隣の家で寝てた。」 「高村くんがいないと悲しいよ。」 「嬉しいこといっちゃって。押し倒していい?」 返事の代わりに唇を重ねた。
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