第1章

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「はい、何度もダメかと思うことがあり、生きた心地がしませんでした。」 「優人をそんなに悩ますなんてレイちゃんは魔性の女かな?」 「そ、そんなことないです。私は高村くんだけですから。」 社長があまりにも気さくに話しかけてくるから、ついつい反論してしまった。 「ハハハ…レイちゃんは可愛いねー。 旦那様を、高村くんって呼んでるのかね。 高校生みたいだ。 顔といい性格といい、こりゃ自覚のない小悪魔だよ。優人、うかうかできないぞ。」 「はい、心得てます。」 「あはは…気に入った。レイちゃん、優人と一緒にうちのジュエリーのコマーシャルに出てくれよ。」 「はい、ありがとうございます。嬉しいです。」 「僕も喜んでお受けします。」 一時は怒らせて違約金を払わされるかもと、玲子さんを悩ませていた社長は、実は気さくで話の分かる人だった。 案ずるより産むがやすしとはこの事だ。
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