65人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうそう! お父さんが元Jリーガーで、よくテレビにも出てるスポーツ解説者なんだよね。 お母さんは元モデルさんらしいし。 それに家には〝ばぁや〟がいるって噂!」
「私なんか塾一緒だったから話したことあるけど、性格だってめっちゃいい子でさ。 お金持ちだからって上から目線だとか自慢っぽい話することも全然ないし。 誰とでも仲良くなるから顔も広くて、とにかく人気者! 隠れファンの女子もいっぱいたりするんだ、実は」
「私の友達も 〝メグ君が行くって聞いたからこの学校受ける!〟 って言ってたんだよ? すべっちゃったけどね」
そうなんだ。 知らなかった。 そんなすごい人がこの学校にいたとは。 やはりイケメンが集まるという噂は嘘ではなかったんだ。
「私も見てみたいな」
そんなに話題になるくらいだから、やっぱりあの人かもしれない。 入学前から注目されて騒がれるなんて、すごいよね。 うーん、なんだか嬉しような悲しいような。
「見てもいいけどミミは手を出しちゃダメよ? メグ君は皆のものだからね!」
いや、だからもちろん。 そんな心配はご無用ですよ。
例え、もしあの人が 〝メグ君〟 だったとしても、私は遠くから眺めて暮らすだけって決めていますので。
「ちょっとミミッ! 来て、やばい!」
ガラリと音をたて乱暴に開いた教室ドア。 同時にヒマの大きな叫び声が飛び込んでくる。
「来る道で走ってコケた! ひざが割れてる! 一緒に保健室ついてきて!」
そう言ってこちらの腕をとったかと思うと、事態がのみ込めず戸惑う私を、ほとんど引きずるようにして教室の外に連れ出すヒマ。 振り向きざまに部屋の中の友人に向け言い放った。
「先生に事情つたえておいてね、よろしく!」
最初のコメントを投稿しよう!